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【新書】『ジャイロモノレール』―100年前に途絶えた技術の復活

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『ジャイロモノレール』森博嗣 / 幻冬舎

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モノレールには2種類あります。

 懸垂式と跨座(こざ)式です。クイズ番組で覚えました。

前者はロープウェイのようにぶら下がる系。

後者は字のとおり跨る(またがる)系です。

 

そのどちらでもない方式がジャイロモノレールです。

ジャイロスコープを使って安定をはかり、1本のレールの上を走ります。

100年前の第一次世界大戦時に理論は作られていたものの、戦争のゴタゴタや予算の不足などで現在では存在していない技術なんだそうです。

特許も取得されていたようですが、肝心な部分は技術を盗まれないように曖昧にボカして書かれていてよく分からないとのこと。

 

森博嗣氏は作家としてはもちろんのこと、鉄道模型のアマチュア製作者としても有名です。そんな著者が100年前の技術を現代に復活させた経緯が書かれています。

(実物が動いている様子はYouTubeにアップされています。)

 

数式に拒絶反応を起こす方のために?一切数式を用いずに、ジャイロ効果やジャイロスコープの仕組みを丁寧に解説してくれています。

物理のことが全然分からない僕でも理解できるような、これ以上易しくしようがないほど分かりやすい説明でした。むしろ説明に感動しました。

「何も分からない・知らない素人にはこうやって教えたらいいのか!」と。

さすが元大学教官ですね。

教えることが最強に上手いです。

 

著者が成し遂げたすごい点は、電子制御を使わずに100年前の技術だけでジャイロモノレールを成功させたことです。理論だけはあっても現実に作るには、数々の挑戦者がいたそうですが無理だったようで、「これはもう不可能な技術では?」と思われていたそうです。過去の技術で成功させることにロマンがありますね。

現代人の意地・プライドもあったのかもしれません。

(過去には出来たことが今は出来ないというのは、技術者にとっては死ぬほど悔しいはず。人類が退化したような気になってしまいますよね。)

 

ただ、著者の森博嗣氏は現在技術者(研究者)ではありません。

大学教員でしたが副業の小説がいつしか専業作家となり、

数年前に作家業も引退するという方針を打ち出して、

現在、都会を離れた広大な土地で庭園鉄道を趣味としながら暮らしておられます。

(作家としての仕事はこれから少なくしていくのだそうです。)

 

著者はものを創ることが趣味で、ラジコン飛行機や鉄道模型など様々な作品を完成させて来られました。

ジャイロモノレールの研究と製作はその一つです。

「趣味」というものは、何かを消費したり、体験させてもらったり、何かを収集したりすることではなく、何かを研究することだと著者は説きます。

刹那的な消費活動ではなく、時間をかけて深掘りしていく試行錯誤なのだと。

日本人の「趣味」の概念は浅くて薄っぺらいのだと。

著者は色んなプロジェクトを並行させながら、10年かけてジャイロモノレールを完成させました。

「これこそが研究であり、趣味というものだ」という実例を読者は見せつけられるわけです。

カッコイイですね。

 

時間がかかってもいいから研究を重ねて、今の世界にまだ存在しないものを作り出せるような趣味を持ちたいと思いました。

 

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