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【小説・文学】『服従』―退けば老いるぞ 臆せば死ぬぞ

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『服従』ミシェル・ウェルベック / 訳:大塚桃 / 河出書房新社

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↑2017年文庫版出版。

 

時は2022年の近未来。

フランスで大統領選挙が行われようとしていました。

有力な候補者は、極右の国民戦線(党)マリーヌ・ル・ペンと穏健派イスラム同胞党のモハメド・ベン・アッベス。

前者ならファシズムの台頭が予想され、後者ならイスラム主義政権が発足します。

ファシズムよりかはマシということで、結果、イスラム政権が成立しました。

イスラム式の政権運営・法令施行により、街は急激に変化していきます。

スーパーで売られる商品にも入荷しなくなったものが増え、

道行く女性の服装もムスリム(イスラム教徒)に寄せてきています。

教育制度も変更を加えられます。

大学の研究者は研究内容を制限され、意に沿わぬ者は解雇されていきます。

女性は一部を除いて大学に行けなくなり、代わりに社会福祉制度が充実していきます。

 

主人公のフランソワは44歳の大学教授。

大学の方針(というか政府の意向)により職をクビになった彼は、治安の悪くなったパリを離れてしばし旅行をします。パリに戻ってきてからは、本を書く依頼を受けたりして食べていける算段がつきそうな運の良さを発揮します。

かつての同僚は、別の大学で雇ってもらえるようになったと報告してきました。

「食べていくためにキリスト教からイスラム教に改宗したのかよ」と彼を蔑みつつも、フランソワは徐々に仕事をする気力もなくし、生きる意欲も減退していきます。

結局彼も、最後はイスラム教に帰依することで大学に復職する道を選択します。

アイデンティティを保つには、知識も教養も役には立たないほど脆いのでした。

 

フランスだけに限らないのかもしれませんが、そこで生きている人々はなんだか、生きるエネルギーが減衰しています。

中年も壮年も皆老人のように、無難に、安全に、慎重に余生を暮らしたいという願いを最優先にして生きているからです。

 

もっと大事なものは自分の中に無いのでしょうか?

そんなことを言えるのは、本当の苦しみをまだ味わったことがない者のたわごとなのでしょうか?

食べていけるなら、主義主張はいくらでも曲げても構わない?

長生きするためには妥協に妥協を重ねても構わない?

 

他人がそうしているのは構いませんが、自分もそうやって生きることを自分で許容できますか?

「退けば老いるぞ、臆せば死ぬぞ」とは『BLEACH』の名言ですが、精神的に老いると取り返しがつきません。死んでいる状態に限りなく近くなります。

そうならないように、チャレンジングな気持ち、冒険心をいつでも持っていたい。

 

「老いる」とは肉体的な衰えではなく、心が枯れてしまうことだと思います。

 心が疲れている者は、思考停止してしまい、何にでも簡単に服従してしまいます。

何も考えずに誰かに従うのは、怠惰で一番楽な生き方だから。

 

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