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【小説・ミステリー】『乗客ナンバー23の消失』―世間の常識が犯人の正体を見誤らせた

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『乗客ナンバー23の消失』セバスチャン・フィツェック / 訳:酒寄進一 / 文藝春秋

f:id:A-key-Hit:20181216213305j:plain←『このミステリーがすごい!2019』海外編第7位。

 

セバスチャン・フィツェックといえば『治療島』が有名ですが、僕はどうもピンときませんでした。そんなに騒ぐほどのものか?と。

 しかし、『乗客ナンバー23の消失』の「このミス」7位ランクインは納得です。

 

ここ数年で「イヤミス」というジャンルがほぼ確立されました。

「イヤミス」というのは、読んでる最中や読後に、嫌な気持ちになるミステリーのことです。(例えば、バッドエンド過ぎて救いがない。あるいはキャラクター全員が嫌な奴で誰にも共感できない。逆に共感できてしまったゆえに自己嫌悪になる等)

健全な精神をもった方からすれば、何を好きこのんで読むのか理解できないことでしょう。嫌な気分になるなら読まなきゃいいのに、と。

 

しかしまあ、ミステリー好きに健全な精神の持ち主などいはしませんww。

殺人事件が起きると分かっているのに読んでいるわけですから。

とはいえ、多少の救いは物語にあってほしいですし、読者が好きになれるキャラクターを何人かは登場させるのがセオリーでもあります。作り手としては。

 

それを逆手に取ったのが「イヤミス」というジャンルです。

この小説は途中まで「イヤミスかな?まずい、心の準備が・・」と疑うくらいには、

かなりヘビーな展開、グロい描写がありました。(テーマも重い。)

しかし、ラストは奇妙な着地の仕方をします。

「あれ?そう来たか!」と意外性があるのですが、「そこで終わり?!」と言いたくなるような形でもあります。

著者としては「ご想像にお任せします」といったところなのでしょうが、

読者としては「そこで切るの?」と驚くでしょう。

 

さて、ミステリーの犯人の正体は意外性のある人物でないといけません。

それこそが優れたミステリーと呼ばれるための必要条件です。

どういった経緯で「意外だった」と読者は思うのでしょうか?

基本的に著者が読者をミスリードして、真犯人から目を遠ざけるものですが、

この小説では、著者がそこまで巧緻な罠を読者に施すまでもなく、

あらかじめ我々が持っている常識という名の偏見によって、

犯人の正体を見誤ってしまう仕掛けになっています。

 子どもを性的虐待するのは決まって父親なのか?ということです。

 

 豪華客船によるクルーズはヨーロッパではありふれた娯楽なのでしょうか?

日本人にはあまりなじみがありませんね。

この物語の舞台は何千人も乗船している大型客船での少女監禁事件です。

これだけの人数が暮らしていたら、それはもう一つの村といっていいレベルです。

しかも洋上なので逃げ場がなく、トラブルが起きないはずがありません。

 

 現実の話として、世界では毎年、クルーズ客船で行方不明者が20人以上出ているそうです。「毎年」がポイントです。10年で200人以上が船上がらいなくなるのは、どう考えても異常ですよね。

一体、何が起こっているのか?

著者は殺人鬼が紛れ込んでいるという説で、物語を組み立てました。

船から自殺に見せかけて、死体を投げ捨てているのだと。

船はすぐには止まれないし、海に捨てられた死体はまず見つからない。

洋上というのは、警察も手を出せない治外法権の空間です。

(事件が起きても、どの国の管轄なのか曖昧)

実は、世界で一番危険なのは、スラム街ではなく洋上なのではないかとすら読後には思えてきます。(戦争地域は除く)

この本のせいで、当分、船の旅はしたくなくなりました。(^0^)/

 

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