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【マンガ】『スピリットサークル』(全6巻)―平成版・『火の鳥』

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『スピリットサークル』水上悟志 / 少年画報社

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<『火の鳥』について>

手塚治虫の『火の鳥』はご存知でしょうか。

数々の人物が過去現在未来どこかの時代に生まれて死ぬまでの生き様を、

不老不死の火の鳥の視点を通して描写していく壮大な物語です。

 

角川文庫版は全13巻で、それぞれの巻が「黎明編」や「未来編」や「鳳凰編」といった形で区切られています。

順番はどの巻から読んでも問題ありませんし、どの巻も恐ろしいほど重厚で濃密なドラマが描かれていて、ハズレがありません。

人類が誇るべき超名作といえます。

 

また、主要キャラクターたちは名前や立場を変えて、何度も生まれ変わります。

「因果応報」や「前世での罪」といったありきたりな言葉では表現しきれないほど、

深く複雑な因縁や運命の皮肉が描かれています。

大人になって読むほど、手塚治虫の才能とセンスに驚かされます。

 

この『スピリットサークル』も、「前世での罪」や「生まれ変わり」、「輪廻転生」を題材とした物語です。

『火の鳥』のような名作と比較すると、比較対象はかすんでしまいそうになると思われるでしょうが、そんなことはありません。

この作品はわずか6巻ですが、濃密な物語が詰め込まれています。

すべて読み終えた後、「これは平成版・『火の鳥』といっても過言じゃないぞ」と確信しました。

『火の鳥』をもう少しポップでコミカルにした感じです。

 

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<あらすじ>

 主人公・桶屋風太の通う中学校に、石神鉱子(コーコ)が転校してきます。

彼ら二人には過去生(前世のこと)7代に渡った因縁がありました。

風太はそれを覚えておらず(前世の記憶なのだから覚えてないのは当然ですが)、

鉱子に「あんたにはあと7回死んでもらう」と言われても、意味が分かりません。

何やら彼女に憎まれているようです。

どうやら風太は過去生で大きな過ちを犯したそうですが・・・。

 

光るフラフープのような形状の物質・「スピリットサークル」。

これを自分に接触させることで、自分の過去生を1回ずつ追体験できます。

わけも分からず憎まれるのに納得のいかない風太は、自分の過去生を思い出すために、追想の旅に出ます。

 

 風太と鉱子は名前と役割を変えて、殺し殺され、憎み憎まれる関係でした。

古代南米地域での生贄の儀式における、生贄の婚約者(風太)と生贄を殺す神官(鉱子)。

中世ヨーロッパにおける、魔女狩りの剣士(風太)と魔女に間違えられて殺される薬草師(鉱子)。

日本戦国時代における、武家の長男(風太)とそれに対立する幕府の使い(鉱子)。

・・・等々。

『火の鳥』と同じように、奇妙ですが、未来における前世というものも描かれます。

そのどれもが素晴らしく面白い!

一つの過去生に1巻しか使わないのがもどかしいほど、一冊ごとの密度は恐ろしく高いです。

他の作家さんなら話をもっと膨らませて、連載をできるだけ延長させて、全20巻くらいにしているところでしょう。

一冊一冊が濃密で、贅沢をしている気分にさせられます。

 

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<死を超えるとは>

ラストエピソードのフルトゥナ(風太)とコーコ(鉱子)の話も最高です。

全ての元凶は、フルトゥナからでした。

彼が禁忌である人工精霊を作り出したせいで、精霊学の先生から破門を食らい、

死の淵の友人を救うべく独学で編み出した技術・「スピリットサークル」。

これを使えば生きたまま霊体になり、病気にもなりません。

しかし死ぬこともできない幽霊となって生き続けないといけません。

 

死なないということは、生まれ変わることができないということです。

親しい人は皆、死んでからどこかの時代の別の誰かに生まれ変わって生きているのに、

自分だけはそのサイクルから除外されているという寂しい感覚。

想像するしかありませんが、絶望しかありません。

それが永遠に続くわけですから。

 

フルトゥナはスピリットサークルを使うことで「俺は死を超える」と言いましたが、

「死」を克服してしまったら、それは人として生きていけないことを意味していたのです。

 

最後に、輪廻を司る「上位存在」に対して、

人類には過ぎた道具であるスピリットサークルを渡す代わりに、

霊体を輪廻に戻してくれるよう頼みます。

死ねない者にとっては、「永遠」は希望ではなく絶望であり、「死」は忌避するものではなく救いなんですね。

そこでようやく、風太と鉱子の憎しみの連鎖も解消されます。

ハッピーエンドでホッとしました。

 

たった6冊のマンガですが、何度も生まれ変わって長い長い旅をしてきたような感慨にひたることができます。

可愛らしい絵柄のマンガですが、深い味わいのあるハードなSFファンタジーです。

一気読みでどうぞ。

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