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【小説・伝記】『遠き落日』―ビッグマウスの世渡り術

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『遠き落日』渡辺淳一 / 講談社

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 ⇧角川文庫からは1982年に出ていますが、講談社からは2013年に出版されました。

上下巻に分かれています。

 

<野口英世の異色の伝記>

この本は、細菌学で有名な野口英世の伝記です。

「日本の偉人たち」といえば、野口英世の名前は必ず上げられます。

苦学して立身出世した代表例のような人物です。

今では1000円札にまでなっていますね。

 

彼は幼少期に囲炉裏に落ちてしまい、左手が大火傷を負って癒着してしまい、手が開かなくなる障害を持って生活していくことになります。

貧しい農家に生まれた彼は、手に障害があるので野良仕事も満足にできないし、母からは「お前は勉強して身を立てる」よう言われます。

小学校では優秀な成績を取り、教師にも絶賛されるほどでした。

チビで片手が不自由という境遇が、彼を奮い立たせたともいえます。

 

ここまでは他の伝記にも書いてある通りです。

しかしこれ以降の彼の人生は、決して清貧の中での刻苦勉励と華々しい業績だけで語られるような素晴らしいものではなかったのです。

 

この『遠き落日』では、隠された野口英世のダメ人間エピソードが語られます。

 

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<借金魔・野口英世>

彼が医師になる直前の青年期からは、とにかく友人や恩師に借金を何度も依頼しています。

彼が経済的に苦しいことも、成績は優秀なことも周囲は分かっているので、

学費、生活費、アメリカに渡るための渡航費など、何度も大金を工面してもらえます。

 

経済的に苦しいから、友人や恩師から借金するのは仕方ないですが、

問題はほとんど返済しない(というより返済する意志は最初からない)ことです。

さらに、目的の通り学費の支払いに使うわけではなく、酒と遊郭に行くことで散財してしまい、そのせいで当初の学費が払えなくなり、また借金の催促をするという繰り返しです。

英世の放蕩ぶりに呆れる友人は、一気に大金を渡すと英世はすぐに使い果たすので、小分けにして送金するといった気の使いようです。

これが生涯に渡って続きました。

クズ人間といってもいいレベルです。

 

借金の催促もまあ巧妙な弁舌で相手を丸め込みます。

「将来有望な私を支援できるあなたは、すごく光栄に思っていいんだよ」

「私にお金を送れるのは幸せなことなんだよ、素晴らしい慈善活動なのだよ」

という感じでお願いするのです。

 

決して「今ヤバいからすぐ金を送ってくれ」という直接的なニュアンスを出さないのがコツです。

「このマズイ状況を助けられるのは君だけだ。ほら、どうする?」と言われたら、優しい友人たちはお金を送ってあげるしかなくなるという手法です。

援助しない方が悪者という気にさせるのです。

もはや詐欺師です。

 

他の伝記では、いかに「ダメ人間エピソード」が端折られてキレイにまとめられていたかが分かります。

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<ビッグマウス・野口英世>

英世はとにかくビッグマウス、大言壮語のハッタリが得意でした。

 身体的なコンプレックスもあってか、自分を恥ずかしげもなく大げさに語り、功績を自慢したがる、プライドの塊のような性格でした。

 

アメリカの大学に渡った当初は、東洋人だからと相手にされませんでしたが、

自分が日本でいかに期待されている重要人物なのかを、ウソを交えながら語り、

アメリカ人の懐に物怖じせずに入っていきます。

 最終的には、研究の成果によってアメリカ人をも納得させることになりました。

 

彼には困った性格の他に、図々しいほどの行動力がありました。

納得のいかないことは何時間でも、相手が嫌になって投げるくらい議論を続けることができました。

寝る間を惜しんで、文字通り倒れるまでずっと研究にはげむ集中力がありました。

 

ビッグマウスによって周囲の期待を煽り、結果を出せないとマズイ状況に自分を追い込むことで発奮し、圧倒的な努力によって本当に成果を出してしまいます。

この繰り返しによって、お金がなくても上手く世渡りをこなしてきました。

 

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<まとめ>

英世が大口のハッタリを叩くだけの借金魔なら、歴史の教科書に載ることも、後世にお札の肖像画になることもなかったでしょう。

彼はダメ人間的な要素を持ちつつも、時間を見つけては勉強と研究に寝食を忘れて打ちこんだからこそ結果を出せました。

散財の仕方も、自分の追い込み方も、どちらも常識外れだったということです。

周囲に迷惑もかけまくっているけれど、圧倒的な努力と結果を残してもいて、どうにも憎めないキャラであることが彼の最大の武器だったのかもしれません。 

 

借金も、誰かからむしり取るわけではないですし、お金がある所から拝借していたという感覚なのかもしれません。

 

 キレイにまとめられた伝記よりも、ダメ人間であるエピソードがあった方が、

人間味があってリアルで面白く親しみがわきます。

 

 世の中にある「偉人の伝記」は、カッコよく描くために都合の悪い部分は、全部隠されているのかもしれません。

人間なんだから、欠点やダメな部分があって当然なのに・・・

そういう部分こそ読みたいと思うのは僕だけじゃないはずです。

 

この本は、キレイに飾られた伝記よりも100倍面白いですよ。

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