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【小説・文学】『雨・赤毛』―短編にこそ意外なオチを!

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 『雨・赤毛』サマセット・モーム / 訳:中野好夫 / 新潮社

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⇧1959年出版。短編集です。

 

<サマセット・モーム作品> 

サマセット・モームといえば『月と六ペンス』が超有名ですね。

ゴーギャンをモデルとした天才画家の情熱と狂気を描いた作品です。

 主人公・ストリックランドは証券会社という安定した職と生活を捨てて画家になろうとします。

都市生活は雑念が多く煩わしいことばかりなので、素朴な生き方を選んでタヒチに移り住みます。ハンセン病になりながらも絵を描き続けて、そこで亡くなります。

実際にゴーギャンもタヒチであの有名な作品、

『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』を描きました。

(⇩これです。)

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サマセット・モームは『月と六ペンス』だけに限らず、南の島を舞台にした小説をいくつか書いているようです。あとがきによれば「南海もの」という区分けがあるみたいです。

これほどの名作を生み出すからには、短編での習作のようなものがあってもおかしくはありません。他の作家でも、名作といわれる作品の前にその助走となる作品がよく書かれています。

しかしこの短編集は『月と六ペンス』と舞台が似たような土地柄というだけで、内容やテーマは全く違いました。

 

 『月と六ペンス』は学制時代に読んで感動しましたが、他の作品は読んだことがなかったので読んでみることにしました。

この本には「雨」「赤毛」「ホノルル」という3つの短編が収録されています。

 

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 <あらすじ>

3つのうち、前2つが世界的にも評価が高いそうです。

 『雨』:

 イギリス人観光客が船の旅で、とある南の島に立ち寄ります。

そこは雨季だったのでなかなか雨が止まず、出港できないまま島の原住民の家に住まわせてもらうことになります。

 

主人公・マクフェイル博士は船旅の間に、上品で落ち着いたデイヴィッドソン夫妻と知り合いになっていました。

客の中にはガラの悪い連中もいて、娼婦も混じっていました。

 

信仰心の強い宣教師でもあるデイヴィッドソンは、娼婦の生き様を批判し、彼女に説教を重ねて反省を強要します。

さらに罪を償わせるために、次に到着する船で自首せざるを得ない(当局に拘束される)ように船長に根回ししてしまいます。

自分が正義だと1ミリも疑わない頭の固さと、自分の信仰心に反する行為を他人がしていることを許せない狭量さには吐き気がします。

それらを振り回す宣教師には、物語の後半で驚愕の展開が待っていました。

 

『赤毛』:

 ある南の島の僻地に小屋が建っていて、そこに老人が住んでいました。

そこにたどり着くにはかなり危ない吊り橋を渡らねばなりません。

そこへ届け物のためにある男が訪ねてきました。

 

男は老人にここに住むことになった経緯を聞きます。

老人はある若い男女の恋愛と別れの話をします。

そして何十年か前に老人は娘の方に横恋慕して夫婦となったことも。

娘は何十年も元カレを忘れられずに苦しんでいました。

いつまで経っても自分の方を見てくれないことに、老人も苦しんでいました。

 

しかし物語のラストに、届け物のために訪ねてきた男の正体が分かり、衝撃の発見をすることになりました。

 

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<読者に寄り添う作家>

あまり期待していたわけでもなかったからか、かなり面白く読めました。

3つともオチやどんでん返しがあって、見事に話が締められています。

非常に上手いし、現在でも通用する面白さです。

 

著者は話の筋がない短編を認めておらず、短編こそストーリーテリング(話の語り)だという信念を持っていたようです。

意外な結末があるからこそ、読者はより楽しめて印象に残るのだということに気付いていたんですね。

今でこそそれはエンターテイメントの基本ですが、「文学」を芸術だと信奉している作家にとっては、その辺が結構おろそかになりがちです。

テーマや斬新な表現を書くことこそが重要なのであって、オチやストーリー展開は枝葉に過ぎないと考える作家も少なからずおられますが、それでは多くの人に広く読んでもらえる作品にはなりにくいものです。

 

 甘えかもしれませんが読者の立場としては、作家は独創的な表現を追求しつつも、できれば面白い書き方も追求してもらいたいところです。

読者に寄り添うことができる作家は強いです。

サマセット・モームは文学者でもあり、読者を驚かせたり楽しませることにも配慮できる、エンターテイナーの素質もあったということですね。

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