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【小説・ミステリー】『ガダラの豚』—呪術師が怖い!

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

 『ガダラの豚』中島らも / 集英社

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⇧1996年出版。(全3巻)

 

<呪術師のトリック>

 あなたは占いを信じていますか?

あるいは他人に良くないことをもたらす「呪い」の存在は?

または催眠術、テレパシー、透視、超能力はどうでしょうか?

 

僕は、自分で自分を縛ってしまう「呪い」(つまり思い込み)はあると思いますが、

他人に影響を及ぼす「呪い」は無いと思っていました。

この小説を読むまでは。

 

この小説には手品師、超能力者、エセ宗教家、そして呪術師が登場します。

前者の3つはニセモノでしたが、呪術師だけは本物として描かれています。

彼の容貌、盲目であるという体質、口調、道具(アイテム)、場所、雰囲気、信条、占いの後に起こる事件などから、そういう能力を持った人間が世界に一人くらいは本当にいるのかもなと思わせる迫力があります。

著者は奇妙で不気味なキャラクターを描くのが上手いです。 

 

「小説なんだから何でもアリじゃないか」と言われればそれまでですが、

実際に呪いの風習のある地域(アフリカ)にわざわざ行って、そこで禁忌を破って呪いをかけられたとしたら、その体験(記憶)が脳に刻まれて、後日、本当に良くないことを引き寄せるような行動を、無意識のうちにとってしまうのではないかという説明も可能です。

そのメカニズムやシステムを「呪術」というのだと。

これなら論理的であり科学的です。

後催眠暗示の技術に近いものかもしれません。

 

ちなみに後催眠暗示については、

松岡圭祐さんの『後催眠』を読めば楽しみながら学べますよ。

 

よく出来た手品はすべて、演出次第で本当に現実に起きたことだと観客に勘違いさせることができます。

マジックショーで不思議な現象が起きても観客が動揺しないのは、「これは手品であってタネがあるんですよ」という前提が皆に共有されているからに過ぎません。

逆にそういう「場」でなければ、人は自分に何かが仕掛けられていることに中々気付けないものです。

 

仕掛ける側に悪意が無ければ笑い話で済みますが、悪意があってネタバレもしないとしたら、仕掛けられた側には悲劇が予言されて見事的中したように思えます。

それが術者への信頼を高めると同時に被害者の不安を増幅させる効果にもなります。

無敵の手法ですね。

手品と呪術には共通部分が多くあり、目的が違うだけで手法はほぼイコールなのかもしれません。そういう意味では専門家ならばいくらでも使うことができるし悪用し放題ともいえます。

怖いですね~。

 

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<あらすじ>

民族学者の大生部多一郎はアフリカの呪術の研究で名を上げました。

世間が超能力ブームなこともあって、テレビタレントとしても活躍しています。

「呪術パワー」の本も出版し売れ行き良好です。

 

数年前にアフリカ旅行で娘が亡くなったことをきっかけに、彼はアル中になり、妻は新興宗教にハマってしまいました。とはいえタレント業は器用にこなします。

そこで色んな自称超能力者たちと対決していきます。

やがて彼らは仲間になっていきます。

その後、仕事の中で知り合ったマジシャンとともに妻を見事奪還し、夫婦ともに立ち直ることができました。

 

そしてテレビの特番企画のために仲間たちとともにアフリカを再訪します。

ケニアとウガンダの国境の村に有名で強力な呪術師がいるとの情報をもとに、そこへ向かいます。

長い旅の末、その村の住人はもちろん周辺地域の人々からも恐れられている呪術師のバキリと会うことができました。

取材を重ねるうちに、大生部たちはバキリがまだ幼い少女を監禁していることに気付きます。幼児虐待を見逃すことはできないとして、バキリにバレないように彼女を連れ出すことにしました。

 

少女を奪われたことを知ったバキリは、大生部たちに呪いをかけます。

村から出て日本に帰るまでの途中に、大生部たちは様々な障害や不運に見舞われてしまいました。もちろん死者も出ました。

やがてバキリは日本にまでやって来て、大生部たち全員を呪い殺そうとします。

お互いの生存をかけた呪術バトルが始まりました。

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 <まとめ>

著者の中島らもさんは異色の経歴を持っています。

肩書も多く、小説家でもあり、劇作家でもあり、放送作家やミュージシャンでもあります。広告のコピーライターや俳優も経験されています。

テレビ業界にも詳しく、この小説ではテレビ屋たちの下世話さや演出の構造について身も蓋もなく書かれています。

アフリカでの危険や食事、衛生面、病気、暮らしや常識、信仰についての情報が不自然にならない感じでテンポよく分かりやすく説明されていて、本当に勉強になります。

人生経験が豊富なのと同時に勉強家でもあったことが、巻末の参考文献の多さから分かります。

 

 四半世紀以上前の小説ですが、今読んでもまったく色褪せない面白さがあります。

文章も全然古臭くないのはすごいことです。

いつまでも絶版にならないことにも納得です。

全3巻ですが、その長さをまったく感じさせないテンポのよさ、展開の上手さがあります。年齢性別を問わず、誰が読んでも面白い作品です。

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