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【ノンフィクション】『羊飼いの暮らし』—日本人の知らない生き方

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『羊飼いの暮らし』ジェイムズ・リーバンクス / 訳:濱野大道 / 早川書房

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 ⇧2018年7月発売。(文庫版です。)

 ハードカバー版が出てから1年で文庫版が出ています。

早すぎ!( ノД`)

 

 <羊飼いとは>

羊飼い」というと日本人には馴染みのない職業です。

その言葉の響きから、何となくのんびりして穏やかなイメージを想起してしまう方も多いと思います。

そんな職業がこの21世紀にまだあったのかと驚く人もいるかもしれません。

まあウール製品や子羊肉があるということは、どこかで誰かが羊を飼育しているということなのでしょうが、具体的にどんなことをしているのか日本人で知っている人はかなり少ないでしょう。

 

この本の内容はイギリスの湖水地方が舞台です。

そこで羊飼いとして伝統的な飼育方法を受け継いだ著者の一家の生活が描かれています。イギリスにはまだ昔ながらの大規模な羊飼いの仕事が残っているのです。

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湖水地方はイギリスの真ん中くらいの位置にありますが、夏は熱中症になるくらい暑く、冬はしっかり雪が積もります。

日本のように四季がはっきりしている地域です。

 

僕はこの本を開くまでは、「羊飼いの暮らし」というのは、都会生活に疲れて自然に囲まれた環境でのんびり生活してみたいと憧れている人に向けて書かれた癒し系の本だろうなと思っていました。

冒頭からそんな甘えた考えは覆されます。

ブラック企業も真っ青のハードすぎる仕事の毎日です。 

 

『鋼の錬金術師』の荒川弘さんが描く自伝的コミックエッセイ『百姓貴族』を読めば分かる通り、畜産業は死ぬほどハードなのです。

もちろんやりがいや充実感、仕事に対する使命感も圧倒的に大きいです

 

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 <羊飼いの仕事>

羊飼いの一年の仕事の基本的な流れは以下の通りです。

 

真夏》

子羊の健康を気にかけながら、雌羊と子羊の毛を刈る。

冬用の干し草を作る。

 

秋》

競売市と品評会のために、山に放牧していた羊を麓に集める。

余剰の羊の出荷準備。(この売上げが年収の大部分を占めます。)

 

晩秋》

繁殖期が始まるため、雄と雌を引き合わせる。

過去の出産成績から適切な組み合わせを試行錯誤するそうです。

 

冬》

雪が積もって羊が草を食べられないので、干し草を与えて冬を乗り越える。

 

早春》

妊娠した雌羊の世話と出産準備

 

春》

肥沃な牧草地で出産させ、何百匹もの新生子羊の面倒を見る。

 

初夏》

識別マーク付け、予防接種、寄生虫駆除。

干し草作りに必要な草を育てる。

 

この流れをずっと繰り返すわけです。

1000年以上前のヴァイキングの時代から基本的な内容は変わっていないのだそうです。

ものすごく長い歴史のある牧畜方法なのです。

 

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<羊飼いの生き方>

著者はその地域で600年続いてきたルーツをもつ羊飼いの一家に生まれました。

著者は羊飼いの仕事に誇りを持っていました

小さい頃から仕事に携わり、羊飼いの大先輩である祖父と父を尊敬し、自分も羊飼いになる未来を微塵も疑ったことはありません。

 

小学校や中学校に行っても、早く仕事がしたくて仕方ありません。

学校の勉強など無意味で、勉強が出来ることはむしろ恥ずかしい事だという共通認識すら羊飼いたちの中にはありました。

本を読んでいたり、いい成績を取ったりすると馬鹿にされるのです。

そんなことよりも、良い羊を育てられる人間が偉くてカッコイイのだと

 

著者もその価値観で生きています。

学校の勉強などくだらないし、そこで教わることなど一つもないと思っているので、事あるごとに教師と対立します。

「あなたはもっと広い世界を知るべき」と説教する教師の言い分が、著者には理解できないのです。

彼の人生は、これ以上進歩・発展させる必要のない完璧な世界だったからです。

仕事が過酷なのは当たり前。立派な羊飼いはずっとそれを乗り越えてきたし、自分にもそれを引き受ける覚悟と自信があると考えています。

 

この価値観は、その教師はもちろん、現代社会で効率的で合理的な生き方をしている(推奨されている)我々にも理解できる感覚ではありません

もっと豊かに、もっと便利に、もっと効率的になることが望ましい社会であるという常識が幅をきかせています。

つらい仕事は辞めて、出来るだけ楽して生きていたいと皆思っているはずです。

著者にはこの感覚がありません。

 

もちろん著者は年齢や時代とともに考えも変わって大学にも行くことになりますが、羊飼いの仕事を辞めようとは1ミリも考えません。

地元である湖水地方の伝統的な農場や景観にも誇りを持っているからです。

 

この本は著者の私小説的家族史でもありながら、羊飼いの仕事・暮らし・歴史の記録でもあります。

世界にはこんな生き方をしている人達がいるのかと、新鮮な驚きを与えてくれました。

日本在住のままでは知らない世界に触れてみたいという方は、ぜひ読んで下さい。

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