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【ノンフィクション】『脳外科医マーシュの告白』—絶対に聞けない外科医の失敗談

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『脳外科医マーシュの告白』ヘンリー・マーシュ / 訳:栗木さつき / NHK出版

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 ⇧2016年6月発売。(文庫版はありません)

 

<医者には一流の技術を期待する>

マンガ『医龍』(乃木坂太郎・永井明)で主人公の朝田はこう言いました。

 

「医者は人を生かすための存在。
だが、外科医は死なせた患者の数だけ成長する
それも逃れられない現実だ。」

 

手術に参加して失敗することに怯えていた研修医に、朝田はそう諭すわけです。

彼は「腕のない医者はそれだけで罪だ」とも言い切ります。

患者は医者の技術に期待して病院にやって来るわけですから、それを提供できない者には存在価値がないというわけです。

医者にとっては厳しい発言かもしれませんが、患者の立場からすれば、自分を担当する医者にはきちんとした技術があって欲しいものです。

というよりも、技術がない医者なら迷惑なだけです。

だからハズレくじを引かないために、患者たちは「名医」と呼ばれる医者の元へ殺到することになります。

 

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とはいえ、どんな名医でも最初から最高の技術を持っていたわけではありません。

技術も経験もほとんど無い時期を経て名医へと成長したのです。

最初は誰もが失敗を犯すものです。

そこから何を学ぶのかが大事です。

失敗を怖がってもうその手術をしないようにするのか、さらに研鑽を積んで二度と同じ失敗をしないように努めるのか。

 医者を続ける覚悟が問われます。

 

「失敗はいずれ笑い話になる」とは言われますが、「医者の失敗」だけはいくら時間が経とうとも笑い話にはなりません。患者を死なせてしまったり、一生残る障害を作り出してしまうわけですから当然です。

医者には恥ずかしさと罪の意識だけが残ります。

それゆえ医者は、自らの失敗には口を閉ざし続けるものです。

 

しかしそういった医者の抱える葛藤や苦しみこそが、実は医療や生命をめぐる根源的な問題を考えるきっかけになったりします。

医者の失敗も、皆で共有した方がより有意義になるのです。

この本では、イギリスを代表する脳外科医である著者が自らの失敗をさらけ出すことで、後進の医者や一般人に「医者のリアルな姿」を伝えてくれます。

名医と呼ばれようとも、超人ではなく普通の人間なんだよと。

 

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 <若手時代の失敗>

 手術をすべきか否かの難しい判断や、命取りになる手術ミスの恐怖、患者に辛い事実を告げなければならない時の苦悩やストレスなど、様々なエピソードが書かれています。

これだけ恥ずかしい失敗をやらかしてきたし、苦しみ悩んでいるんだということを惜しげもなく披露してくれています。

 

その中で、彼が脳外科の専門医になって4年目に犯した失敗を紹介します。

 

患者の症例は、異常に大きな錐体斜台部髄膜腫です。

患者はイギリスで最高の脳神経外科医であるM教授にセカンドオピニオンを行い、そのM教授が執刀医に著者を推薦しました。

研修医は皆、M教授と肩を並べるような外科医になりたいと思っていたほどなので、そんなM教授から直々に頼まれて、著者は喜びました。

著者はこれまでにそれなりの経験を積んできたので、自分には何でもできると思い込み始めていました。

 

手術開始後の数時間は、問題なく進行しました。

腫瘍を少しずつ慎重に摘出していき、深夜を迎えます。

手術開始から15時間が経過した頃、腫瘍の大半を摘出したものの、脳神経には一切傷をつけていませんでした。

そしてこの時点で辞めておけばよかったと後に悔やむことになりました。

 

最後に残った腫瘍はそのまま残しておいても問題ありませんでした。

しかし彼は患者に、「腫瘍はすべて摘出しました」というセリフを言いたかったために、最後まできれいに摘出しようとします。

そのときに脳底動脈を引き裂いてしまいました。

 

失血自体は大した量ではないし、すぐに止血することができましたが、脳に深刻なダメージを与えることになりました。

結果として、その患者は意識を取り戻すことはありませんでした。

つまり植物状態になったわけです。

 

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<まとめ>

こんなとてつもなく恥ずかしくて罪悪感を抱いている自らの失敗事例をさらけ出すのは、相当な勇気を必要としたことでしょう。

責められこそすれ、誉められることなどないのに。

技術がある医者でも傲慢になったり些細な見栄を持ってしまったりして油断が生まれ、とんでもない失敗をやらかしてしまうことがあるんですね。

 

医者だけに限らず、あらゆる人々の教訓となるエピソードが詰まっています。

 イギリスではベストセラーになったそうですが、納得の内容の充実度でした。

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