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【マンガ】『インハンド』―事故を防ぐのはシステムか、良心か

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『インハンド』朱戸アオ / 講談社

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 ⇧2019年2月に発売。

 2019年4月から山ピーこと山下智久さん主演でドラマ化されました。

 

<題名の変遷>

元々は『ネメシスの杖』というタイトルで2013年に出版されたものを、ドラマ化に合わせて『インハンド』の前日譚(プロローグ)として分かりやすく表記し直した形です。

 『ネメシスの杖』は月刊アフタヌーンに掲載されていましたが、『インハンド』というタイトルにしてからは、イブニングに移動しています。

イブニング移籍後には『インハンド』のタイトルで1巻が2019年の3月に出ています。

ドラマ化直前に合わせてきたんですね。

 『インハンド プロローグ』は全2巻で、1巻に1エピソード、2巻に3つのエピソードが収録されています。

キーワードは「バイオテロ」「生物学」「寄生虫」です。 

 

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<あらすじ>

主人公は寄生虫の専門家・紐倉(ひもくら)。

彼は過去に何らかの事件により右手を失い、現在は義手をつけて生活しています。

 右手を失うまではFBIに協力するなど精力的な活動をしていたものの、今では義手を人前にさらすのが恥ずかしいために、箱根の植物園で隠遁生活を送っています。

 

 厚労省の患者安全委員会で働く阿里玲。

彼女の仕事は医療事故の原因を探り、対策を立てることです。

彼女はある病院で起きた医療事故を調査する中で、その原因は「シャーガス病」という伝染病ではないかという疑念を抱きます。

 

シャーガス病はトリパノソーマという原虫が引き起こします。

粘膜から体内に潜り込んだトリパノソーマは、血中を泳いで心筋や消化器にたどり着きます。そこで十数年かけて臓器を蝕み、心肥大や巨大結腸を引き起こします。

慢性期に入ってしまうと有効な治療法はありません。

 

事故の聞き取り調査には病院の医師たちはもちろん、遺族たちも非協力的で、ついに厚労省の上層部からも隠蔽の指示が降りてきました。

正義感と理想に燃える彼女は納得がいかず、専門家である紐倉に会いに行き協力を要請します。最初は調査協力を渋っていた紐倉も、寄生虫への好奇心が抑えられず、引きこもり生活に別れを告げました。

 

調査を進めていくうちに、どうやらある企業が販売したジュースによる16年前の食害事件が関係していることが分かりました。

そのジュースには厚労省がトクホ(特定保健用食品)認定を出していました。

にもかかわらず、ジュースを飲んだ人達の中には感染症に罹患して死亡した者もいました。

これは企業にとっても厚労省にとっても責任問題となる恥でしかない事例なので、うやむやの内に隠蔽されました。

 

そしてシャーガス病感染によって悩み苦しみ自殺した娘をもつ男は、当時の関係者たちにを下すべく、バイオテロ(トリパノソーマをばらまく)を決行したのです。

紐倉と阿里は男を止めるために動き出しました。

 

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<システムか、良心か>

 食害事件の原因は、そのジュースに関わった人達(企業、研究者、官僚、テレビのディレクター)の誰もが良心を発揮しなかったことです。

このうち一人でも真面目に仕事(健康効果の検証)をしていればこんな事にはならなかったと怒るテロの犯人に対して、阿里はこう言います。

 

「たしかにあいつらには過失や違反や怠慢があった。でも私は彼らが特別に悪い人間だとは思いません。

どんな企業も自社製品の悪い部分は宣伝しません。

研究者は研究費や社会的地位のためにちょっとしたリップサービスをします。

過酷なTV制作の現場で検証が不十分の番組を流す。

どれもよくある事です。彼らを全員罰するべきだとお考えですか?」

 

「人間は弱く愚かです。ですからそれを前提としたシステムを作るべきなんです。

人間の本質的な愚かさに罰を与えても、悲劇は防げません。」

 

それを受けて犯人はこう言います。

「なるほど、システムで解決か。

あんたは人間を信じていない。私はどんな人間でも良心があると思っているよ」

 

言葉だけを聞いていれば、犯人の方が善人のような感じもしてきますね。

阿里の方は、人間が信用できないからミスを犯さないようなシステムを構築すべきだという考えで動いています。それが正しいやり方なんだと信じて。

しかし犯人との会話で気付くわけです。

どんなに正しい理論でも、心がついてこなければ意味がない」ことに。

 

 確かに人がミスをしないような仕組み作りは重要ですが、人間に期待しなくなったら社会は終わる気がします。

では事故が起きてしまったとき、被害者はどこに怒りをぶつければいいのでしょうか。

難しい問題です。

 

アフタヌーンらしい骨太のバイオミステリーでした。

 感染症や生物学に興味がある方はぜひ読んでみて下さい。

 

⇩それぞれ1冊ごとにキリがよく終わっているので、エピソードが本をまたいでいるものはありませんが、左から読んでいくことをオススメします。

  

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