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【小説】『探偵AIのリアル・ディープラーニング』―人工知能はヘボ探偵

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『探偵AIのリアル・ディープラーニング』早坂吝 / 新潮社

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 ⇧2018年5月発売。

『このミステリーがすごい!2019』で第19位にランクイン。

 

<AIについて>

最近よく我々が耳にするのは、AI(人工知能)の劇的な進歩によって多くの人間の仕事が奪われるという意見です。

さらに近い未来に、AIがディープラーニング(深層学習)を繰り返すことでシンギュラリティ(技術的特異点)が起こって、AIの思考が人類の知性では全く理解できないレベルにまで到達してしまうとも言われています。

 いずれにせよAIが人類の立場を脅かすのではないかと心配しているわけです。

 

とはいえ現時点において、AIは万能ではありません

AIには「特化型」「汎用型」があります。

現代社会で活躍してニュースになっているのは前者の特化型AIです。

将棋や囲碁やチェスでプロに勝利したり、

お掃除ロボが部屋の形状を学習して効率的に動き回ったりするなど、

一つの機能にだけ特化していて他の用途では使えないAIのことです。

 汎用性はありません。

 

「汎用性」とは、一つの用途だけではなく様々なことに広く利用、応用できる性質のことです。

人間の強みはこの汎用性です。

特化型AIは人間と比べたら応用が利きにくいし、臨機応変さがないのです。

また人間の人格を模したAIも作られていますが、合理性に縛られたプログラミングには非合理的な感情から来る人間の言動を完全には再現できません。

 

この小説ではAIに推理をさせています。

AIが探偵役を割り当てられているのです。

AIは果たして「推理」という行為ができるのでしょうか?

 

推理とは既知の限られた情報をもとに、論理立てて未知の事柄を推し測ることです。

コンピュータはデータの分析は得意ですが、分析結果をもとにどういう結論を導くかはこれまでは人間の仕事でした。

AIは仮説に不確実性が混在していようとも、そのまま想像力を広げていけるのでしょうか?(人間はできます)

 

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 <あらすじ>

主人公は高校生の合尾輔(あいお たすく)。

人工知能の研究者だった父親が、自宅の離れ(密室)で焼死したところから物語は始まります。

警察は事故死とみなしていましたが、輔はその結論に疑問を持ちます。

 

父親は死ぬ直前に、自身が開発したAI・相以(アイ)を離れから自宅の自室に避難させていました。父親の遺品整理のために父親の部屋に入った輔は、そこでUSBを発見し、その中には相以のプログラムが収められていました。

相以は探偵としての能力を発揮するように設計されていました。

 輔と相以は父親の事故死の真相を探るべく調査を開始します。

 

実は父親の死の陰には、8人のハッカー達で構成されるテロリスト集団・オタクコアの企みがありました。

テロリスト達の目的は、地球上の全政府を消滅させて、シンギュラリティで誕生した人工知能たちに世界を統治してもらうことです。

つまりAI至上主義者たちの集まりなのです。

 

彼らは相以を手に入れるべく、輔を拉致しようとしたり、スマホを盗もうとしたり画策します。

 

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<まとめ>

相以はディープラーニングが不十分で、最初は探偵としては素人以下のレベルでした。

密室(離れ)での死亡事故の真相解明のために、

・離れのプレハブの設計者と建築者のアリバイ確認の必要がある

・消防隊員が全員共犯の可能性があるので被害者とのつながりを調べる必要がある

・石油ストーブ型のドローンが存在して被害者に衝突したかもしれないので、石油ストーブを分解してみる必要がある

と提案してきたのです。

人間が言ったのならふざけているのかと疑うレベルですが、AIはいたってマジメです。

 

実はAIを作る際は「フレーム問題」に気を付けないといけないそうです。

 無限の可能性がある現実世界では、適切な枠(フレーム)で思考を狭めない限り、無限に計算し続けることになってしまうからです。

この枠を作るのが人工知能は苦手なのです。

ディープラーニングによって概念や事象の「特徴」を学べば、その分野では大体どういうことが起こってどういうことが起こらないかという感覚が身につくと言われています。

 

 この小説を読めば、ミステリー作品において探偵はあらゆる可能性を考慮しているように見えて、実は人間の推理は「まず、ありえなさそうだ」と思うものは最初に無意識的に除外していることに気付かされます。

推理した後の捜査の手間や効率のことを考えれば、この「ほとんどありえない可能性」を排除するセンスも要求されるのです。

 AIはこれが分からないから本当にあらゆる可能性を考えてしまい、なかなか真相にたどり着けなくなります。

AIを探偵役にすると、人間がいかに賢いのかが分かります。

 

後半は相以もまともに推理できるようになりますが、前半のポンコツぶりが非常に面白いです。

「フレーム問題」以外にも「シンボルグラウンディング問題」「不気味の谷」「チューリングテスト」「中国語の部屋」といったAIを語る上では欠かせないトピックが詰め込まれていて、AIのことを知る入門書的な読み方もできます。

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