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【マンガ】『モナリザマニア』1巻―贋作も生きる希望になる

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『モナリザマニア』ヨシカゲ / 集英社

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 ⇧2019年1月発売。

 

<絵の才能> 

「 絵の才能がある」とはどういうことでしょうか。

どういう人が才能があるといわれているでしょうか。

家族や友達に認められたら、才能があるということでしょうか。

何かのを取ったり、藝術大学の入試に合格できたら才能があるのでしょうか。

 

 絵の分野に限らず、いくら「これが自分の得意分野だ」と言ったところで、世間では仕事として成立していなければ「才能がある」とは評価されにくいものです。

 

では藝大に合格できなかった者達は才能がないのでしょうか?

僕はそうは思いません。

藝大に行かなかった者達の中にも、絵が圧倒的に上手い人は大勢います。

ただ、上手いだけでは「才能がある」とは言われない厳しい世界なのです。

十分「才能がある」と言っていいことなのに。

 

このマンガの主人公は観察眼に優れ、正確に模写をする能力に秀でています。

技術力が高いことは高校でも認められていましたが、作家性(つまり独創性)がないという評価を受けて藝大に4浪してしまいます。

「上手いんだけどいい絵ではない」と言われたことを引きずっています。

 

絶望して自分の絵の才能に諦めかけていたところに、救いの手が差し伸べられます。

「お前には才能がある」と言ってくれる大人が現れたのです。

若者は見識が狭いために、自分の才能を上手く社会と適合させられずに悩むことが多いものです。(自分には何が出来るのか、何が向いているのか。

大人が別の道もあることを示すことで、新しい生き方(生きがい)に出会えることもあります。

 

これは自分の才能に気付き、人生に自信と希望を取り戻していく若者の物語です。

 

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<あらすじ>

 藝大の4浪が決定して、自分の才能を諦めかけている主人公・カワセミ。

彼は祖父の美術工房で居候させてもらっていました。

家計が経済的に苦しいので美術の予備校に通うこともできませんでしたが、工房にある画集や資料を見て模写の訓練には事欠かない環境でした。

 

入試に落ちた後に、その年に練習で描いた大量の絵を処分するのは毎年の恒例行事となっていました。

今年もまた河原の粗大ゴミ捨て場に絵を処分しに行きます。

そこで画商のメルと出会います。

彼は毎年捨てられている絵を目にして、カワセミを探していたのです。

 

メルはカワセミに贋作を描いてみないかと提案します。

「お前には才能がある。技術・知識・審美眼は最高のものを持っている」と。

 

犯罪に手を貸す気はないカワセミでしたが、才能を認められたことが嬉しくて、軽い気持ちで現代油彩画家の作品を模写しました。

美術館にある本物と入れ替えて展示しても、誰にも(作者本人にも)バレなかったことから、カワセミは自分には他人の審美眼を盗む才能があることに気付きます。

 

そしてメルは、現在ルーブル美術館にある「モナ・リザ」は贋作であることを明かします。

1911年に「モナ・リザ」の盗難事件が起こり、そのときに詐欺師は複数の贋作を用意して世界中のコレクターに売りつけたそうです。

本物を含めた6枚のモナ・リザを。

 

本物の所有者のモナ・リザと、カワセミの描いた贋作を入れ替えて本物をゲットし、

ルーブル美術館に売りつけようという壮大な作戦をメルは提案します。

この計画に加担する中で、カワセミは自分の可能性に気付いて成長していきます。

 

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<まとめ>

名画や贋作と来ればもちろん、贋作系美術マンガの代表格である『ギャラリーフェイク』(細野不二彦)と比較されてしまうのは仕方がないことですが、両者は主人公の性質が決定的に違います。

 

『ギャラリー・フェイク』の主人公・藤田は元メトロポリタン美術館のキュレーターという経歴があり、圧倒的な経験値を積んだ完成された大人なのに対し、

『モナリザマニア』の主人公・カワセミは若い青年であり、修復や鑑定の仕事をしたことは全くありません。藝大を4浪するというコンプレックスを抱え、自信を失いつつある未熟者です。

 

だから『ギャラリーフェイク』のような社会派のストーリーを期待している方にとっては肩透かしを食らうことになるかもしれません。

このマンガは主人公の葛藤と成長を描いているのです。

題材は似ていますが、テーマは全く違います。

 

 

また、同じ集英社から出ている広告美術系マンガ『左ききのエレン』(nifuni・かっぴー)とも題材が少し似ています。

しかし主人公・光一は大口を叩くだけのへたっぴ野郎なので、この『モナリザマニア』の主人公とは真逆です。

『左ききのエレン』で残念なのは、天才と呼ばれるエレンが本気で描いた絵をきちんとマンガの画面内に作者が描いていないところです。

(第一話で一回だけ登場したきりです。)

どんな上手い演出をしようとも、読者がその絵を目にすることが出来ないので作品の説得力は半減してしまいます。

音楽系のマンガでピアノ奏者の手元を一切描かなかったり、将棋マンガで盤面を描かないようなものです。

 

この『モナリザマニア』は違います。

きちんと主人公がどんな絵を描いたのか、実際に読者に見せてくれます

毎回タッチが劇的に変わって、主人公のすごさは一目瞭然です。

ゴッホのひまわりを模写するシーンには鳥肌が立ちました。

 主人公もすごいし、著者もすごいです。

 

 贋作を描くことで人生の希望を見出していくという、全く新しい美術系マンガです。

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