『薬屋のひとりごと』日向夏・ねこクラゲ・七緒一綺 / スクウェア・エニックス
⇧1巻は2017年9月発売。
原作はライトノベルです。
小説が漫画化されているわけですが、同名の作品が「サンデーGX」からも出版されており、どちらも現在5巻まで出ていて混同してしまう危険性があるのでご注意下さい。
今回紹介するのは「ビッグガンガン」に連載されている方です。
<薬と毒にまつわるミステリー>
漫画だけに限らず、ドラマや小説でも薬剤師(あるいは薬屋、薬草師)を題材とした作品は多いです。
なぜだか女性が主人公のものが多いです。
(現実世界でも薬剤師として働く女性が多いからでしょうか。)
この漫画の主人公も元薬屋の少女です。
薬というのは使い方によっては毒にもなりますし、毒も使い方によっては薬になります。
日常的に食べるものでも大量に摂取すれば体に悪いですし、毒だとされているものでも微量は必要な栄養素だったりもします。
そのため、薬剤師は人命に関わる事件と相性がいい題材です。
つまり毒を使った暗殺などの「謀略もの」から病気の治療などの「医療もの」まで、幅広く対応できるということです。
薬や毒は医療系ミステリーとは切っても切れない関係なのです。
この漫画は薬や毒の知識がある薬屋の少女を主人公にしたミステリーです。
薬剤師を主人公にした作品は政略ものか医療ものになりやすいものですが、この漫画は毒見役の探偵として活躍します。
珍しいパターンです。
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<あらすじ>
舞台は19世紀あたりの中国をベースとした架空の世界です。
家が薬屋の主人公・猫猫(マオマオ)は、薬草採取に出かけた際に人さらい達に誘拐されてしまいます。
連れて来られたのは宮廷の中の後宮でした。
後宮とは帝が子どもをつくるための女官だけの区域のことです。(日本でいう大奥。)
そこは男子禁制であり、入れるのは皇帝と宦官のみです。
猫猫は薬師として後宮に入りましたが、単なる下働きの仕事を割り当てられていました。
彼女はそこで暮らしている女官たちは、花街の女たちと大して変わらないことを早々に見抜きます。
(※むせ返る化粧の香りと綺麗な衣装とうすっぺらい笑い)
彼女は出世競争に巻き込まれないように、わざと顔に醜い化粧をして、字も読めないフリをしていました。
そうやって大人しく働いていれば、そのうち用済みになって家に帰れると考えていたからです。
ある日、猫猫は後宮で生まれる世継ぎの子どもたちの連続死のウワサを聞きました。
帝の子どもが3人とも生まれて間もなく亡くなったのです。
ウワサではその原因は「呪い」によるものだとされていましたが、母体である上級女官が頭痛と腹痛と吐き気を訴えていることを知り、猫猫は原因を突き止めるために動き出します。(正義感というより好奇心が旺盛なだけ。)
原因を突き止めた猫猫は、字が読めたり書けたりすることを隠すために、世継ぎを産んだ二人の上級女官にこっそりメッセージを送りますが、そのうちの一人に正体がバレてしまいます。
そしてその能力を買って、侍女になるよう要請されました。
つまり出世してしまったのです。
下っ端の侍女の務めとして、上級女官の食事の毒見役があります。
世継ぎを産んだ女官を出世させないために、ライバル達が毒で暗殺しようとするからです。
実際に毒に当たって瀕死状態になる者もいるので、毒見役は誰もが嫌がります。
しかし小さい頃から毒の摂取を自分の身体で人体実験してきた猫猫は、毒に当たったときの苦しみに興奮を覚えるというマッドサイエンティストでした。
彼女は他の毒見役の女官たちがビビる中、嬉々として毒見役をこなしていきます。
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<まとめ>
宮中で毒に詳しい少女が毒見役になると、毒殺を狙った犯人を推理する探偵役としても機能します。
ありそうでなかったミステリーです。
主人公が「毒を自分の身体で試してみるのが好き」という変態性を持っているところも面白いです。
『HUNTER×HUNTER』のキルアみたいですが、猫猫に毒は効きます。
毒の判定能力が高いので死なないというだけです。
彼女は観察力や洞察力に優れており、さらに行動力もあるという、ホームズとワトソン役を一人でこなしています。
絵も上手く、文句のつけどころがありません。
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