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【小説】『メインテーマは殺人』―手記形式なのにフェアプレイ(本格ミステリー)

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『メインテーマは殺人』アンソニー・ホロヴィッツ / 訳:山田蘭 / 東京創元社

⇧2019年9月28日発売。

文庫です。(ハードカバー版はありません)

著者は『カササギ殺人事件』で「このミステリーがすごい!2019」海外編第1位を獲得した実力派作家です。

 

 

 

<フェアプレイと手記形式>

「本格ミステリー」という言葉をご存じでしょうか。

ミステリーは謎の「提示編」「解決編」に分かれています。

提示編の手がかりを使って論理的に推理すれば、解決編を読まなくても正しい答え(トリックや犯人)を導くことができるように設計されたミステリーを「本格ミステリー」と呼びます。

要は著者が解決編の前に、謎解きに必要な手がかりを全部読者に提示してくれている作品のことです。

これが不完全なものは「本格」とはみなされません。

「本格」であることは、「フェアプレイ」とも言われます。

つまり手がかりの後出しジャンケンではなく、謎を解きたい読者に対して公正な書き方がされているということです。

 

 また、ミステリーの記述形式は、大抵は神(著者)の視点から書かれています。

全体の状況を俯瞰して、事象が客観的に書かれているということです。

ミステリーというのは、「事実として何が書かれているか」が非常に重要なので当然の方法論です。

例えば「会話文には嘘を混ぜてもよいが、地の文に嘘を書いてはならない」というのは基本的なルールです。

 

ただ、そうではない書き方を採用している作品も多くあります。

その最もポピュラーなのが、作中人物による「手記形式」です。

何らかの意図があって著者はその方式を選んだわけですが、ミステリーで「手記」が出てきたら、まずトリックに関係していると(読み慣れた読者に)疑われます。

「手記」形式は書き手がいくらでも嘘を書いてよいし、書き手が勘違いしていたり、都合の悪い事をあえて書かずに隠していることも大いにあり得るからです。

 

「手記」形式の地の文は書き手の「思考」にあたります。

つまり客観性を保持する必要はないので、嘘を書いてもいいのです。

 そのため、叙述トリックが非常にやりやすいのです。

これをミステリー用語で、「信用できない語り手」といいます。

 

とはいえ、すべての「手記」形式のミステリーに叙述トリックが仕掛けられているわけではありません。

この小説は「手記」形式ですが、安易な叙述トリックに逃げず、フェアプレイに徹しています。

 つまり本格ミステリーです。

 

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<あらすじ>

 舞台はイギリス。

主人公は作家のアンソニー・ホロヴィッツです。

著者と同じ名前であり、数々のテレビシリーズの脚本を書いた人気作家である点も同じです。

(とはいえノンフィクションではありません。ミステリー小説では、著者が自分を作中に登場させることがしばしばあります。)

 

とある葬儀屋にダイアナという老女がやってきて、自分の葬儀の手配をしました。

生前に自分の葬儀のやり方を予め計画しておくというのは、さほど珍しいことではありません。

珍しいのは、彼女が手配をしたその日に、本当に亡くなったことです。

まるで自分の死期を知っていたかのようですが、彼女は健康に問題はありませんでした。

 

ダイアナは自宅で何者かに殺害されました。

方法はカーテンをまとめるヒモによる絞殺です。

自宅が荒らされていたことから、警察は押し込み強盗によって運悪く殺されてしまったのだと結論づけました。

彼女はそれなりにお金持ちでしたが、自宅に監視カメラは設置されておらず、付近の住人も留守だったため、犯人の目撃者は誰もいませんでした。

 

ある日、アンソニーのもとに、元刑事であるホーソーンという男がやって来ます。

ホーソーンは以前、アンソニーの脚本にアドバイスをした経緯があり、二人はちょっとした知り合いでした。

ホーソーンは今、ダイアナ殺害事件の捜査を始めたところでした。

 彼はその事件の顛末を「自分を主人公にして本に書いて欲しい」とアンソニーに依頼してきました。

 

ホーソーンはかつて優秀な刑事でしたが、不祥事を起こし警察を辞めることになりました。

しかしその捜査能力を買われて、今は警察の顧問をしています。

つまり警察のルールに従わずに自由に捜査ができるという身分です。

アンソニーはホーソーンに押し切られる形で、彼の本を書いてみることを承諾しました。

 

二人はダイアナの関係者に一人ずつ会いに行き、ときに慇懃に、ときに挑発的に振る舞って、アリバイや人間関係を詳しく調べ直していきます。

そんな中、ダイアナの葬儀が行われました。

そして葬儀が終わったあと、帰宅した彼女の息子・ダミアンもまた斬殺されてしまいました。

 

 実はダイアナは、過去に轢き逃げ事故を起こして子どもを殺害してしまいました。

そのため彼女は被害者の両親から恨まれていました。

しかし彼女の息子は、それとは関係ありません。

 

果たしてダイアナ親子はどういう理由で殺害されたのでしょうか。

 

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<まとめ>

 この小説はアンソニーの手記という体裁をとったミステリーです。

彼はあくまで探偵(ホーソーン)の助手であり、事件の観測者です。

これはシャーロック・ホームズとワトソンの関係性と同じです。

『カササギ殺人事件』でもそうでしたが、著者はアガサ・クリスティなどの古典的ミステリーの空気感を醸し出すのが非常に上手いです。

 

 そして凡百の手記形式のミステリーは、部分的に詳細を省いてその穴を突くように叙述トリックを仕掛けてくるものですが、この小説ではそんな姑息な方法で読者をひっかけようとはしていません。

全編に渡って事象の詳細な描写がされています。

それなのに冗長だと感じさせないのは、著者の語りが上手いからです。

 

手記形式なのに安易に叙述トリックにせず、徹底してフェアプレイにこだわったミステリーです。

 

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